パートタイム労働者を保護する法律

パートタイム労働者を保護する法律について

パートタイム労働者を保護する法律として、労働基準法などの他、パートタイム労働法が重要な役割を果たしています。

労働基準法は、労働者が生活を営むために必要な最低限の労働条件についての基準を定めた法律です。この法律はすべての労働者に対して適用され、使用者に対しては労働条件の向上を図るよう努力することを求めています。

最低限の労働条件として規定されているのは、賃金、労働時間、休憩、休日、年次有給休暇、災害補償、解雇などの項目です。これらの労働条件について法に定める基準を満たしていない労働契約はその部分について無効になります。

パートタイマーであっても、所定の条件を満たすことによって有給休暇を取得することもできますし、予告なく解雇された場合は、解雇予告手当を請求できるなどの権利を持っています。

また、労働基準法だけでなく、労働契約法、最低賃金法、労働安全衛生法、労災保険法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法など労働者に関する他の法律についても適用されます。

パートタイム労働法について

パートタイム労働法とは、「短期労働者の雇用管理の改善等に関する法律」の通称です。パートタイマーに対し、適正な労働条件の確保や福利厚生の充実措置を講ずるため、事業主に対して労働基準法とは別に定められた法律をいいます。

この法律でいう「短時間労働者」とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」という条件に該当する者をいいます(2条)。

この法律はパートタイマ-だけでなく、アルバイト、契約社員、臨時職員などという名称で呼ばれる雇用形態であっても、条件に該当すれば適用されるということです。

同法では、パートタイム労働者を雇う事業主等が負うべき責務として、「通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図り、当該短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるように努めるものとする」と定めています(3条)。

具体的には、就業の実態などを考慮した上での適正な労働条件の確保、教育訓練の実施、福利厚生の充実、通常の労働者への転換の推進に関する措置などをいいます。

なお、平成27年4月の改正法施行により、職務内容や人事異動のしくみが通常の労働者と同一のパートタイム労働者については、有期契約・無期契約を問わず、差別化を図ることが禁じられています(9条)。

その他、以下のような事項について定められています。

・労働時間などの労働条件を明らかにした文書の交付(6条)

・短時間労働者用就業規則の作成、変更における短時間労働者の過半数代表者からの意見聴取の努力義務(7条)

・パートタイム労働者を雇い入れた場合の雇用管理措置内容(賃金制度や福利厚生など)の説明義務(14条)

・パートタイム労働者の相談に応じた体制の整備(16条)

これらの規定に反した場合は、科料を処せられる場合があります(30条、31条)。また、厚生労働大臣等が事業主に対し、必要に応じて報告を求め、または助言・指導・勧告等を行うことができます(18条)。