毎⽇、朝10時から17時まで勤務の場合と同様に⾃宅のパソコンなどで作業をしていますが、在宅勤務の場合に労働基準法の適⽤はあるのでしょうか。
契約内容から⾒て使⽤者と労働者という関係がある場合、労働基準法が適⽤されます。
在宅勤務において、パソコン業務の⽐重が⾼まっています。ホームページを企画・制作するウェブクリエーターやCGデザイナー、プログラマーなどが⾃宅で作業したり、事務所を借りてSOHOという形で働く場合も増加しています。
しかし、企業がこれらの在宅勤務者と契約を結ぶ場合は注意が必要です。
請負契約や委任契約のつもりで仕事を依頼したにもかかわらず、締結した契約の内容や、実際の働き⽅などによっては、「使⽤者と労働者」という使⽤従属関係があると判断され、労働基準法が適⽤される場合があるためです。
たとえば、企業と在宅勤務者が何らかの仕事の完成を⽬的に契約する「請負契約」や、労働⼒提供や技術指導など⼀定の⾏為を⾏うことを⽬的に契約する「委任契約」を締結している場合、原則として両者の間に雇⽤関係がないため、在宅勤務者は労働基準法上の「労働者」ではありません。
しかし、名⽬上「請負契約」「委任契約」という契約を締結した場合でも、実際の労働状況に使⽤従属関係が認められるのであれば、労働基準法が適⽤されます。
使⽤従属関係があるかどうかを判断する、または判断を補強する基準としては、次のようなものがあります。
①仕事の依頼、業務従事の指⽰に対する諾否の⾃由の有無
使⽤者からの仕事依頼や、業務についての指⽰などに対し、断る⾃由があるか。
②業務遂⾏上の指揮監督の有無
業務の内容および遂⾏⽅法について「使⽤者」の具体的な指揮命令を受けているかどうか。使⽤者の命令や依頼で、通常予定されている契約以外の業務に従事することがあるか。
③拘束性の有無勤務場所および勤務時間が指定され、管理されているか。
④代替性の有無
本⼈に代わって他の者が労務を提供することや、本⼈の判断で補助者を使⽤することが可能か。
⑤報酬が労務の対価とされているかどうか
報酬が「使⽤者」の指揮監督下での労働の対価として⽀払われたものであるか。
ただし、これらの基準の1つに該当するからといって、直ちに使⽤従属関係が認められるわけではありません。あくまでも、実際の業務の流れなどを考慮しながら総合的に判断することが必要です。
また、雇⽤関係で契約社員として勤務する場合、下図に記載する事項についても確認するようにしましょう。