違法派遣と労働契約申込みみなし制度について

違法派遣と労働契約申込みみなし制度について教えてください。

⼀定の違法な形態の派遣を⾏っていると労働契約の申込みをしたとみなされます。

労働契約申込みみなし制度(みなし雇⽤制度)とは、派遣先が労働者派遣法の⼀部の規制に違反していると知りながらまたは過失によって知らずに派遣労働者を受け⼊れていた場合、その派遣先は、派遣労働者に対して⾃動的に直接雇⽤契約をしたことになる制度です。

みなし雇⽤制度については、派遣労働者に対して就業規則の明⽰を⾏う際に、明⽰する必要があります。

具体的に「みなし雇⽤制度」の対象となる派遣先の違法⾏為は、

ⓐ派遣先が派遣労働者を派遣禁⽌業務に従事させた場合、

ⓑ派遣先が許可や届け出なく派遣労働者の派遣を受けた場合、

ⓒ派遣先が派遣期間の上限を超えて労働者派遣を受けていた場合、

ⓓ派遣先が労働者派遣以外の名⽬で、偽装した契約を締結していた場合

の4つです。

労働者派遣法で定められた上記の⾏為に違反して派遣労働者を業務させた時点で、派遣先と派遣労働者が直接契約をしているとみなされます。

労働契約の申込みをしたとみなされた派遣先は、この申込みを1年間撤回することはできません。

派遣労働者が、この1年の間に労働契約の申込みに対する承諾をすれば、派遣先の企業と派遣労働者との間で労働契約が成⽴します。

ただし、派遣労働者の承諾の意思表⽰がなかった場合は、「みなし雇⽤制度」の効⼒はなくなり、申込みをしたとみなされる派遣労働者の労働条件は、みなされた時点の労働条件がそのまま適⽤されます。

なお、「みなし雇⽤制度」については、期間制限の対象外とされていた専⾨26業務の廃⽌により、制度⾃体が事実上の⾻抜き状態であるという懸念の声も聞かれています。

これまでは、専⾨26業務として派遣労働者を受け⼊れれば、期間制限なく派遣扱いで働かせることが可能でした。

したがって、専⾨26業務に該当する業務に従事するために受け⼊れられた派遣労働者が、専⾨外の業務に従事しながら期間制限なく働くというケースが⾒られ、問題視されていました。

みなし雇⽤制度が適⽤された場合、上限を超えた期間の派遣労働は違法とされ、期間制限なく業務に従事していた派遣労働者には正規労働者への道が開けるはずでした。

ところが、期間制限の対象外とされていた専⾨26業務⾃体が廃⽌されたことでみなし雇⽤制度が適⽤されず、本来の救済⽬的であった「期間の定めなく専⾨外業務に携わる専⾨26業務派遣労働者」を助けることができなくなりました。⾻抜き状態であるといういわれは、このような経緯からきています。

厚⽣労働⼤⾂の助⾔・指導・勧告

厚⽣労働⼤⾂は、派遣先や派遣労働者が求めた場合、派遣先の⾏為が「労働契約の申込みとみなされる⾏為」に該当するかどうかの助⾔をすることができます。

また、この制度に該当し、みなし申込みに承諾をした派遣労働者を派遣先が就労させない場合には、厚⽣労働⼤⾂は派遣先に対して、派遣労働者の就労に関する助⾔や指導、または勧告を⾏うことができます。

さらに、厚⽣労働⼤⾂が、派遣労働者を就労させるように勧告したにもかかわらず、派遣先の企業がその労働者を就労させない場合には、その旨を公表することができます。