⾮正規社員は、もはや日本において⽋かすことのできない労働⼒のひとつです。⼀定の雇⽤期間を設けた上で労働契約を交わす派遣社員、契約社員、パート・アルバイトなど、呼び⽅はさまざまで、年齢層も若者から定年退職後の⾼齢者など幅広いものとなっています。
このような⾮正規社員を雇う場合、気をつけるべきポイントに「労働条件の決め⽅」があります。
同じ仕事をしているのに、正規社員と⾮正規社員で異なる賃⾦体系を組んでいる場合は、それが双⽅にとって公平なものかを考えなければなりません。
正規社員と⾮正規社員間の賃⾦格差に関する問題は、裁判にも発展しています。
具体的には、物流会社「ハマキョウレックス」に雇⽤されている契約社員のトラック運転⼿が、同様の業務に従事する正規社員に⽀払われている⼀部の⼿当が⽀給されないのは不当であるとして訴えたというケースがあります。
⼀審では通勤⼿当の格差については不当であると認めたものの、その後⾏われた控訴審では、雇⽤形態の相違を根拠として賃⾦に差をつけることは労働契約法違反とみなされました。
そして、会社側には正規社員のみに⽀給している⼀部の⼿当 に関する⽀払を求める判決が下されました(⼤阪⾼裁。平成28年7⽉26⽇)。
この判例のように、異なる雇⽤形態間での待遇で「不合理である」と判断される基準には、①業務内容の相違、②業務に対する責任の有無、③配置転換の範囲、などがあります。
また、待遇の差には賃⾦に加え、福利厚⽣や有給休暇などの利⽤権利も考慮されることになります。
労働者は、働いた分の対価として賃⾦を得る権利を持ちます。雇⽤形態を理由とした不合理な差別は禁⽌されており、訴えられるケースもあるため、注意が必要です。