派遣社員に残業命令を出したいのですが、可能でしょうか。何かデメリットがあれば教えてください。
派遣先事業者は派遣社員と直接労使関係がないため、残業など労働時間の延⻑を命令することは、原則としてできません。
労働者派遣の場合、派遣社員の雇⽤主は派遣元企業です。
労働基準法をはじめとする労働関連の法令は雇⽤主にさまざまな義務を課していますが、派遣社員についての雇⽤主の責任は原則として、派遣元企業が負うことになります。
つまり、派遣社員に対する、時間外労働についての労使協定(三六協定)の規定が適⽤されるのは、本来の労使関係がある派遣元事業者ということになります。
実際に就業している派遣先事業者とは、労使関係があるわけではありませんから、法的には三六協定などの適⽤はないわけです。
したがって、派遣先事業者が派遣社員に対し、残業の命令を出すことはできないことになります。
ただ、派遣社員に労働時間の延⻑を求めることは全くできないというわけではありません。
派遣社員の始業時間・終業時間・休憩・休暇などの労働条件については、派遣契約の内容に基づいて⾏われます。この派遣契約上で、時間外勤務に関する取り決めをしていれば、その範囲内で残業を求めることも可能なわけです。
業務の関係上、残業の可能性があるのであれば、派遣元事業者との契約の段階で労働時間延⻑についての条項を設けておきましょう。