パート社員に年金や雇用保険、健康保険について、必ず加入させなければいけないのでしょうか。
加入させなくてよいのはどんな場合でしょうか。
パート社員の社会保険や労働保険加入について
パート社員の場合でも、国の定める適用要件を満たした場合は、社会保険や労働保険に加入させる必要があります。パート社員の定義として、パートタイム労働法では、「1週間に働く所定労働時間が、同じ事業所で働く正規労働者に比べて、短い労働者」のことを指しています。
つまり、パート社員には、正社員より働く時間が短いこと以外は、すべて正社員と同じ扱いを受ける権利があります。
たとえば、パート社員にも福利厚生の利用権利があり、働く日数に応じて有給休暇を与えなければならず、労働保険・社会保険に加入させる義務があります。
なお、社会保険に加入している40歳以上65歳未満のパート社員は、自動的に介護保険にも加入することになります。
被用者保険(厚生年金保険、健康保険)の適用範囲の拡大
2020年5月29日、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、6月5日に公布されました。
この法律は、より多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり多様な形で働くようになることが見込まれる中で、今後の社会・経済の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るためのものです。
多様な就労を年金制度に反映するため、被用者保険の適用拡大を実施しました。
具体的には、短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件(現行、従業員数500人超)を段階的に引き下げ、2022年10月に100人超規模、2024年10月に50人超規模とします。
賃金要件(月額8.8万円以上)、労働時間要件(週労働時間20時間以上)、学生除外要件については現行のままとし、勤務期間要件(現行、1年以上)については実務上の取扱いの現状も踏まえて撤廃し、フルタイムの被保険者と同様の2か月超の要件を適用することとします。
加えて、強制適用の対象となる5人以上の個人事業所の適用業種に、弁護士、税理士等の士業を追加します。
社会保険の加入対象になる方
・従業員数101人以上(2024年10月からは51人以上)の企業で働く、以下のすべてを満たす人が対象になります。
・週の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金が8.8万円以上
・2か月を超える雇用の見込みがある(フルタイムで働く方と同様)
・学生ではない
パートタイム労働者と労働保険
労災保険
労働保険のうちの労災保険は、業務上・通勤時の災害で労働者が被害を被った場合に、療養費や遺族年金などの給付を行う制度です。
1人でも雇用していれば、原則として労災保険の適用事業所として扱われ、加入が義務付けられます。雇用形態に関係なくすべての労働者に受給権利があるため、パート社員にも加入義務が生じます。
雇用保険
パートタイム労働者でも一定の基準を満たせば雇用保険の被保険者となり、失業等給付が受けられます。
(1) 適用要件
パートタイム労働者でも、以下の①及び②の適用基準のいずれにも該当する場合には 雇用保険の被保険者になります。
雇用保険の適用基準
① 1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
②31 日以上引き続き雇用されることが見込まれること。
(2) 適用区分
雇用保険の被保険者は、年齢により次のような被保険者の種類に分類されます。
65歳未満:一般被保険者
65歳以上:高年齢継続被保険者※
※65歳前から引き続き同一の事業主に雇用されている方に限ります。 65歳以降に新たに 雇用された方は被保険者とはなりません。