定年後、嘱託社員になり、業務内容が変わらないのに給料が⼤幅にカットされた場合

定年後、嘱託社員になりましたが、定年前と業務内容が変わらないのに給料が⼤幅にカットされ、疑問を感じています。

有期契約であることだけを理由に、定年前より条件を低下させることはできません。

定年前と業務内容やその責任が変わらないのにもかかわらず、嘱託社員になったということだけをもって、給与を減額することは、労働契約法20条違反になる可能性があります。

労働契約法20条は、嘱託社員などの有期労働契約の労働者と、期間の定めのない労働契約の労働者について、不合理な差別を禁⽌する規定を置いています。

つまり、業務内容、責任の程度、職務の内容及び配置の変更の範囲などが期間の定めのない労働者と変わらないような場合には、有期労働契約であることだけをもって、給与額などの労働条件を低下させてはならないわけです。

この点について、再雇⽤されたトラックの運転⼿が、定年前と業務内容や責任が同じであるにもかかわらず、賃⾦を下げられたという事案において、労働契約法20条に違反しているとして、会社側に定年前の賃⾦との差額分の⽀払いを命じた判例があります(平成28年5⽉13⽇東京地裁判決)。

再雇⽤後の労働条件については、使⽤者と労働者の間で、どのような労働条件で合意するのか、よく話し合うことが重要です。再雇⽤後に給与額が減少する場合には、業務の内容、責任の程度、職務の内容及び配置の変更の範囲、などがどのように変更され、それに伴う給与額の減少が妥当であるのかをよく確認するようにしましょう。