嘱託契約とはどんな契約なのか

「再雇⽤は嘱託扱いとする」と聞いたのですが嘱託契約とはどんな契約なのでしょうか。

さまざまな意味がありますが、この場合、定年後の雇⽤契約を意味しています。

嘱託という⾔葉には、⼈に何らかの仕事を頼んで、遂⾏してもらうという意味があります。

このため、それまでの経験や知識、技術⼒を有する定年退職者に若⼿社員の指南役として残ってもらいたい場合などに、再雇⽤した⼈を嘱託社員という名称で呼ぶことが多いようです。

実際にはこれ以外のケースでも、働いている⼈の⽴場を嘱託という⾔葉で表すことがあります。

たとえば、企業や団体が社員や職員の健康診断などを頼んだり、警察が検死を依頼する医師のことを嘱託医師と呼びます。

この場合、医師はその企業や団体の社員または職員となるのではなく、別の⼤学や病院などに勤務していて、「健康診断」「検死」などといった特定の業務だけを⾏うことになります。

また、建設会社が設計事務所に住居の設計を依頼したり、製造した商品の運搬を決まったトラック運転⼿に依頼するといった場合にも、嘱託という名称の契約を締結することがあります。

この場合には⼀般的な使⽤者・労働者という雇⽤契約ではなく、会社対会社(個⼈事業主)という対等の⽴場で契約をしていることがあります。

このように⼀⼝に嘱託といっても、契約の内容によってはその⽴場が全く違ってくる場合があります。

ところが、当事者がその違いを知らず、「⾃分は会社に雇⽤されていると思っていたのに実際はそうではなく、仕事中にケガをした際の労災保険を受けられなかった」といったようなトラブルが⽣じることもあるので、注意が必要です。