勤務延⻑制度導⼊の注意点

勤務延⻑制度導⼊の注意点について教えてください。

引き続き雇⽤することになるので、労働者の意向確認が必要です。

勤務延⻑制度とは、定年制を導⼊している会社で、定年の年齢に達している労働者を雇⽤し続ける制度のことをいいます。原則として、定年を迎えた労働者は、定年前の雇⽤契約をそのまま引き継いで就労することが可能です。

勤務延⻑制度は、「中⼩企業では厳格に定年制度が運⽤されていない」、「⼤企業よりも中⼩企業の⽅が従業員の定年退職後に、そのポストに新たに別の担当者をあてがうことが難しいケースが多い」、「中⼩企業は⼤企業ほど賃⾦体系が年功序列にはなっていないため、必ずしも年配者が⾼報酬というわけではない」といった理由から、⼤企業ではなくむしろ中⼩企業で実施されているケースが多いようです。

勤務延⻑制度を導⼊する場合には、雇⽤契約が継続されるという点を除いて、再雇⽤制度を利⽤した労働者と同様の労働条件にすることが可能です。逆に、通常の正社員と全く同じ労働条件とすることも可能です。

どのような制度を利⽤すべきかについては、各企業の状況によって異なるため、⾃社にあった制度を作ることが必要です。

勤務延⻑制度を採⽤する場合には、原則として、定年に達した労働者のうち希望する者全員を雇⽤し続ける必要があります。

ただし、平成25年3⽉31⽇までに労使協定によって雇⽤が継続される⾼年齢者の基準を定めていた企業の場合は、年⾦を受給できる労働者については、引き続きその基準を適⽤することで雇⽤する労働者を限定することができます。

⼿続きや通知はどのように⾏えばよいのか

定年を迎えた労働者のうち、希望する者のみが勤務延⻑制度の対象になります。そのため企業は勤務延⻑制度を利⽤するかどうかを労働者⼀⼈ひとりに対して意向確認を⾏う必要があります。

従業員には、定年後の⽣活設計の検討を⾏う⼗分な期間与えなければならないため、定年の1年前には企業は労働者の意向を確認しておきます。

その際には、勤務延⻑制度を利⽤できる条件や、勤務延⻑制度を利⽤した場合の労働条件を明確に従業員へ伝えます。

その後、⼀定の期限を区切って、従業員から勤務延⻑制度の利⽤の受付を⾏います。期限までに申出がなかった従業員については、勤務延⻑制度を利⽤する意思がないとみなします。

勤務延⻑制度を利⽤する意向を表明した従業員につき、条件を満たしているかの審査を⾏い、条件を満たしているのであれば労働者が定年を迎える⽇に新たな辞令を出します。

従業員による勤務延⻑の申出や、会社から従業員への審査結果の通知は、⼝頭でも書⾯でも⾏うことが可能です。しかし、後の紛争を防ぐことを考えると、書⾯を利⽤した⽅がよいでしょう。

また、勤務延⻑時に報酬が変更されることで、社会保険の等級が変更になる場合があります。その場合も、⼿続きの際に辞令や新しい報酬が記載された書⾯が必要になります。

なお、勤務延⻑により継続雇⽤する労働者を限定する基準を適⽤する企業の場合、勤務延⻑の条件を満たさない労働者も出てくる可能性があります。その場合、従業員が定年後のことを考えて動き出す時間を与えるために、できるだけ早く結果を通知するようにしましょう。