企業での法律となるのは就業規則、労働協約など
パートタイマーについて制裁規定を置く場合にはどんな注意が必要でしょうか。
正社員とは別に作成し、実効性のあるものした⽅がよいでしょう。
社会にはさまざまな⼈がいます。その⼈たちがそれぞれに⾃⼰主張し、⾃分の都合で動いていては、社会が成り⽴ちません。
このため、⾏動の基準となる慣習や法律などがあります。
すべての⼈がこの慣習や法律などを遵守し、社会の安定・維持に協⼒できるのであればよいのですが、残念ながら過失にせよ、故意にせよ、違反する者が少なくないのが現実です。
そこで、少しでも多くの⼈が慣習や法律などを遵守するように抑⽌⼒としての効果を求めて、違反者に罰則を与える(制裁)規定を設けるという⽅法がとられています。
これと同様のことが⼩さな社会ともいえる企業の中でも⾏われています。企業での法律となるのは就業規則、労働協約などです。これらの取り決めでは懲戒解雇をはじめとする制裁規定が盛り込まれています。
制裁規定にはどんなものがあるか
雇⽤形態がパートタイマーであっても、会社の⼀員として社内の秩序を守る努⼒をしなければならないのは当然です。
正社員と同じ就業規則を適⽤するのであれば、制裁規定も同じように適⽤されることになるわけですが、パートタイマーの場合、正社員とは責任や⽴場が違うのが通常で、制裁の効果も正社員とは違ってくることがあります。
たとえば、3か⽉契約で雇⽤しているパートタイマーに1か⽉の停職処分を科してしまうと、雇⽤の⽬的が果たせなくなってしまいます。
このため、パートタイマーに対する制裁規定は、正社員とは別に実効性のあるものにする必要があります。具体的には、次のような規定が考えられます。
①注意
⼝頭や⽂書などで当事者に注意する。
②始末書
注意の上、事の⼀部始終や反省を記載した始末書を提出させる。始末書の枚数によっては、さらに上の制裁を科すと規定している会社もある。
③減給
期間を区切るなどして賃⾦を減らす(労働基準法91条による上限あり)。
④解雇(契約の解除)
30⽇以上前までの解雇予告か、解雇予告⼿当を⽀給した上で⾏う解雇。有期契約の場合、契約解除となる。
⑤懲戒解雇
最も重い処分。即⽇の解雇となる。労働基準監督署⻑の認定を受ければ、解雇予告⼿当の⽀払いも必要ない。