⽉に3回遅刻しました。1回の遅刻は平均15分程度でしたが、「会社の規則で遅刻3回につき給料1⽇分カットだ」と⾔われました。厳しすぎるのではないでしょうか。
労働基準法でカットできる上限が定められています。
会社の就業規則に社員が遅刻をした場合の、罰則規定が置かれていることがあります。
ただ、罰則を定めることができるからといって、どのような罰則でも定めることができるわけではありません。
労働基準法では、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は1回の額が平均賃⾦の1⽇分の半額を超え、総額が⼀賃⾦⽀払期における賃⾦の総額の10分の1を超えてはならない」としています(91条)。
たとえば、1回平均10分の無断遅刻6回で、1⽇分の給与をカットすることが、法律の制限に触れるかどうかを考えてみましょう。
1回平均10分の遅刻だとすると、6回遅刻しても、労働時間への影響は1時間です。この場合に、会社側が1時間分の賃⾦をカットすることは問題ありません。
これはノーワーク・ノーペイの原則(労働者は使⽤者に労働⼒を提供することによって、その⾒返りとして対価を得ることができるということ)に基づくもので、制裁としての性質はないからです。
それを超えて減給する場合には、就業規則で定めなければなりませんが、1回の減給につき1⽇分の半額以下でなければならず、⽉給制であれば、減給額の総額も、⽉給額の10分の1以下でなければなりません。
会社から⾒れば、「1分の遅刻も1時間の遅刻も1回は1回。時間軽視という意味では同じだ」という考えもあるかもしれませんが、実際に遅刻した時間を⼀切考慮せずに、回数だけで1⽇分の賃⾦をカットするというような就業規則を定めることはできないということです。
「遅刻3回につき給料1⽇分カット」という規定は、法律で定められた減給の上限規定に違反すると考えられます。余分にカットされたのであれば、その額の返還を請求することができます。