セクハラの程度があまりにひどく、落ち着いて仕事もできません。会社に責任はないのでしょうか。
会社にはセクハラ対策を⾏う義務があり、責任を負わなければなりません。
社内でセクハラが⾏われた場合、セクハラを⾏った本⼈が法的な責任を負うことは当然です。
しかし、セクハラの横⾏は会社にも責任があるため、従業員だけでなく、会社も職場内でセクハラが⾏われていないか注意をする必要があります。
男⼥雇⽤機会均等法11条では、事業主は、職場において⾏われる性的な⾔動に対する労働者の対応により労働者が不利益を受け、労働者の就業環境が害されることのないよう、必要な体制の整備その他の雇⽤管理上必要な措置を講じなければならないと定められています。
この規定により、会社はセクハラを防⽌する措置を講じる義務を負っているのです。
また、厚⽣労働省が発表している「事業主が職場における性的な⾔動に起因する問題に関して雇⽤管理上講ずべき措置についての指針」では、事業主が講ずべきセクハラ対策について措置の内容が紹介されています。
具体的には、事業主は従業員に対してセクハラを防⽌する措置を講じていくことを明確に⽰すことや、セクハラを相談できる体制を整備することなどが必要であると記載されています。
会社は、社内でセクハラ⾏為があった場合、⺠事上の責任として、使⽤者責任(⺠法715条)を負います。
使⽤者責任とは、従業員が不法⾏為により他⼈に損害を与えた場合に、使⽤者である会社などもその従業員と共に損害賠償責任を負うという責任のことです。セクハラは不法⾏為に該当しますので、セクハラにより被害を被った者に対しては、会社はセクハラ⾏為を⾏った者と共に被害者に対して損害賠償責任を負います。
また、会社は、従業員との労働契約に基づく付随義務として、従業員が働きやすい労働環境を作る義務を負っています。セクハラが⾏われるような職場は労働者にとって働きやすい環境とはいえないので、会社が労働契約に基づく義務を怠ったとして債務不履⾏責任を負う可能性があります(⺠法415条)。
さらに、会社は男⼥雇⽤機会均等法に基づく義務を負っています。会社内でセクハラがあり、厚⽣労働⼤⾂の指導を受けたにもかかわらずそれに従わなかった場合には、会社名が公表されます。
このように、会社側にはセクハラのない環境づくりを⾏う義務があるため、セクハラの事実が認められる時点で責任を負うことになります。