妊娠したパート女性に対する退職勧奨は問題あるのか

パートの⼥性が妊娠し、今後の遅刻・早退の可能性について申出を受けたため、「出産・育児に専念した⽅がよい」と伝えようと思いますが、これは問題ですか。

パートの妊娠や出産を理由とした退職勧奨や不利益な取扱いは禁⽌されています。

従業員が任意に退職することを促す⾏為を退職勧奨といいます。

ただし、会社が従業員を騙したり、脅迫することで結果的に従業員が退職した場合は任意退職とはいえないため、退職は無効になります。これは、正規社員だけでなく、パート・アルバイトなどの⾮正規雇⽤者に対しても同様です。

男⼥雇⽤機会均等法では、パートやアルバイト含むすべての⼥性労働者に対して妊娠や出産を理由に退職の勧奨や不利益な取扱いをしてはならないと定めています。

本ケースにおける会社側の⾏為は、妊娠を理由として退職に追い込んでいると判断され、結果としてパートの⼥性が退職した場合でも退職は無効となる可能性があります。

また、不当に精神的な圧⼒を加えた場合はパワハラ扱いとされる可能性もあり、パワハラとされた場合は会社が不法⾏為を⾏ったとされ、パートの⼥性の退職について損害賠償責任を負います。

育児介護休業法では、労働者が出産や育児について育児休業や短時間勤務制度を活⽤できるように各会社へ義務付けています。⼥性労働者が出産や育児に専念するため仕事を辞めるべきという考え⽅は、これらの法律の趣旨に反します。

たとえ妊娠した部下を気遣うつもりで⾏った発⾔だとしても退職が無効となる場合や訴えを起こされる可能性があるため、注意しなければなりません。