再雇⽤時の労働時間の⾒直し

再雇⽤にあたり、労働時間の⾒直しを考えているのですが、どんな⼿法があるのでしょうか。

フレックスタイムや在宅勤務を活⽤することも1つの選択肢です。

フレックスタイム制の活用

再雇⽤後は、40代50代の頃よりは仕事の負担も少なくなるでしょうから、フレックスタイム制を導⼊するのも1つの⽅法です。

フレックスタイム制とは、会社があらかじめ1か⽉の総労働時間のみを決めておき、毎⽇の出勤時刻や退勤時刻は各労働者が⾃由に決めることができる制度のことをいいます。

フレックスタイム制の導⼊に適している業務とは、各労働者が他の労働者と独⽴して仕事を⾏っている業務や、仕事を処理するにあたって個⼈の創造性や⾃主的な判断が重要となる職種です。

逆に、⼯場で商品を製作するといったように、労働者全員がそろって流れ作業で仕事をこなしていくという職場や、店頭での販売業務など常に顧客に対応しなければならないという職場などでは、フレックスタイム制はなじみにくいといえます。

雇⽤継続制度により再雇⽤した従業員にもフレックスタイム制を利⽤して働いてもらう場合には、就業規則にその旨を定める必要があります。

在宅勤務制度の活⽤

在宅勤務制度とは、労働者がオフィスへの出勤をせず、⾃宅で仕事を⾏うという制度のことをいいます。

企業にとっての在宅勤務制度を利⽤するメリットとしては、その従業員のための机などの備品を⽤意する必要がない、オフィスに出勤するわけではないので通勤⼿当を⽀払わずにすむといった点が挙げられます。

注意すべき点は、オフィスに来ないとしても労働者であることに変わりはないということです。

労働者との関係が雇⽤関係であることに変わりはありませんから、在宅勤務制度で働く労働者には、労働基準法が適⽤されます。

この点について、請負関係で働く内職就労者や請負就労者は在宅勤務制度を利⽤する労働者には含まれません。

雇⽤と請負の区別は微妙な事例ではありますが、仕事の依頼や業務に従事する指⽰があった場合に、労働者に仕事の依頼を承諾する⾃由がある場合にはその者は労働基準法の適⽤を受ける労働者ではなく請負就労者になります。

また、会社が業務の内容や進⾏を管理し、勤務時間が定められている場合には、その者は労働基準法の適⽤を受ける労働者になります。

事業場外のみなし労働時間制度の活⽤

再雇⽤する労働者の仕事が、⾃宅から直接に顧客のもとに向かって⾏うことができる商品販売業務などの場合、会社や事業所に出勤する必要がありません。

この場合、直⾏直帰の勤務形態を検討することになります。直⾏直帰制度を利⽤するメリットとは、通勤時間を考えなくてよい、従業員の⾃宅を拠点として営業活動を⾏わせることができる、といった点にあります。

この制度を導⼊する場合には、就業規則に事業場外労働に関するみなし労働時間制を適⽤する規定を作り、その旨を労働基準監督署に届け出る必要があります。

事業場外のみなし労働時間制とは、タイムカードなどで労働時間を管理できない労働者につき、あたかも社内で働く他の労働者と同じように、始業時刻から終業時刻まで労働したとみなす制度です(労働基準法38条の2)。