再雇⽤を引き換えに退職⾦を引き下げたいと思っているのですが可能でしょうか。
退職⾦の減額は労働条件の不利益変更にあたり、合理的理由や緊急性などがない限り認められません。
退職⾦は、法律上⽀給が義務付けられているものではありません。
つまり、法律上では退職⾦制度を定める義務は各会社には設けられておらず、就業規則においても退職⾦は「相対的記載事項」に位置するため、社内で定めを置かない場合は就業規則に規定する必要もありません。
しかし、いったん就業規則などで退職⾦の規程を定めた以上、その内容は労働者との約束ごとであり、会社側の⼀⽅的な都合で変更することはできなくなります。
変更にあたっては就業規則を改定する必要がありますが、退職⾦減額という改定は「不利益変更」にあたります。
そのため、
①その不利益を労働者に受忍させるだけの⾼度の必要性と合理的な理由がある、
②第三者から⾒ても緊急性、必要性が⾼い、
③減額や不⽀給によって労働者が⼤きな打撃を受けない、
などという状況が整っていなければ改定が認められません。
また、⾼年齢者の雇⽤延⻑などの環境を整えることは、社会情勢から⾒て必要であることから、65歳までの段階的雇⽤が義務化されていますので、退職⾦の減額を再雇⽤の条件とするのは問題があります。
再雇⽤の条件については労働組合や本⼈と⼗分協議し、成績や資格、技術など具体的な基準を設けるようにしましょう。