契約社員に守秘義務を課すことができるのか

契約社員に業務秘密についての守秘義務を課すことができるのでしょうか。

可能ですが、守秘義務を課すことが難しいケースもあるので注意が必要です。

「契約社員が契約期間終了後に同業他社に就職し、前の会社で得た秘密事項を次の会社の業務に役⽴ててしまう」といった事態を防ぐ⽅法としては、雇⽤契約時に守秘義務を課したり、同業他社への就業を数年間にわたって禁⽌する競業避⽌義務を課すといったことが考えられます。

守秘義務を課す場合、「業務上で知り得た情報については、⼝外しない」「情報を他に開⽰することによって、当社に損害が⽣じた場合は、損害に⾒合う⾦額を賠償する」といった内容を盛り込んだ契約書を作成しておくとよいでしょう。

ただ、実際に情報漏えいがあった場合に、その事実を確認する証拠を出すことが困難であることや、損害額を賠償するだけの資産が社員側にないといったことが予想され、その契約に実効⼒があるかどうかは疑問です。

また、競業禁⽌については、憲法に定める「職業選択の⾃由」を侵害する⾏為であるという考え⽅もあり、義務を課すこと⾃体が難しいともいえます。

これらのことからすると、契約社員に秘密保持を求めることは可能ですが、実際に守ってもらうことは⾮常に難しいということになります。

そのため、最初から漏えいの危険があることを想定して、開⽰する資料や技術について制限を設けておくなどの防御措置をとっておくことが必要です。