契約社員には固定残業制は適⽤されないのか

固定残業制度に基づき割増賃⾦を⽀払っているのですが、契約社員が納得しません。契約社員には固定残業制は適⽤されないのでしょうか。

他の社員と⽐べて差別にあたらない限り、契約社員に固定残業制度を導⼊できます。

固定残業制度とは、毎⽉、⼀定時間の時間外労働を⾏ったものとして設定した割増賃⾦額を給与額に含めて⽀払う制度のことです。定額残業代ともいいます。

労働基準法では、時間外労働をした場合、給与計算期間ごとに集計して割増賃⾦を⽀払うよう定めています。

⼀⽅、残業⼿当をあらかじめ固定給に含め、毎⽉定額を⽀給している会社も少なくありません。

このように残業⼿当を固定給に含めて⽀給すること⾃体は、法的には問題ないのですが、注意して制度設計をしないと労働基準法違反になってしまうこともあります。

契約社員に固定残業制を導⼊することは可能ですが、契約社員のみに導⼊するような場合には、他の社員と⽐べて不当な差別を⾏っていると判断されるおそれがあるため、注意が必要です。

固定残業制度を適法に⾏うためには、

①基本給と割増賃⾦部分が明確に区分されている、
②割増賃⾦部分には何時間分の残業時間が含まれているのかが明確である、
③上記②を超過した場合には、別途割増賃⾦が⽀給される

という3つの要件を満たす必要があります。

特に上記③は、実際に労働者が⾏った残業に対して割増賃⾦が⽀払われていないと判断されないように、会社は、固定の残業⼿当を上回る差額部分の割増賃⾦を⽀払う必要があります。