契約社員が業務外でパソコンを無断使⽤したらしく、⼀部の重要データが破損しました。給料から修復費⽤を差し引くことは可能でしょうか。
賃⾦は全額払いが原則ですので、当然に修復費⽤を差し引くことはできません。
労働基準法24条は、賃⾦は所定⽀払⽇に⽀払うことが確定している全額を⽀払わなければならないと規定しています(全額払いの原則)。給料を得て働いている労働者は、賃⾦全額が⽀払われることを前提に、⽣活設計を⾏っています。
そのため、⽣活の基盤である賃⾦を保護するために、賃⾦に関して全額払いが原則とされています。
なお、労働基準法の規定は、社員はもちろん、契約社員も賃⾦を基盤に⽣活を設計しているという点では異なるところはありませんので、契約社員に関しても全額払いの原則が適⽤されます。
したがって、契約社員が業務外でパソコンを無断使⽤したことによって、重要データが破損した場合であっても、会社が⼀⽅的に給料から修復費⽤を差し引くことは、賃⾦の全額払いの原則に違反するため、許されません。
もっとも、全額払いの原則は、労働者の⽣活基盤の保護が⽬的ですので、社員側から給料から差し引いて修復費⽤を⽀払うことに同意している場合には、会社は、給料から差し引いて修復費⽤に充てることができます。
なお、給料から差し引くことができない場合であっても、契約社員に対して、業務外のパソコンの無断使⽤による損害について、別途損害賠償を請求することは可能です。