小さな子どもに、「ダメ!」はNG
スポンサー

普段の子育ての中で、思わず子どもに「それをやっちゃダメ!」「ダメって言っているでしょ!」などと声をかけたことはありませんか。

なにかをやろうとした時に、一方的に禁止をしたり、否定されたら、小さな子どもたちはどのようなきもちになるでしょうか。

危険なことを止めさせる、周りに迷惑をかけてしまうことを注意するなど、そういった大人側から考える理由を、小さな子どもたちはまだ明確にとらえることができていません。

子どもは3歳ぐらいになると、大人とのやりとりが成立するようになり、少しずつものごとを理解しはじめていきます。

しかし、まだ言葉で自分の思いを伝えたり、大人がダメと止める理由を理解もできないうちから、否定・禁止をされてしまっては、「やらせてもらえない」という無力さだけが心の中に残ってしまいます。

ダメと言われれば、その場では「やってはいけないんだ」と感じ取り、次からはやらなくなるかもしれません。

ただ、そうしてしまうと、自己否定にもつながりかねません。「(理由は分からないけど)自分が悪いからママに叱られたんだ」と、自己肯定感が損なわれてしまう可能性があるのです。

さらに問題なのは、こうした言葉を威圧的な態度で伝えてしまうことです。大人が激しく「ダメ!」と言えば、子どもは当然、萎縮してしまいます。周りの大人の顔色ばかり見て、チャレンジする心を失ってしまう可能性すらあります。

それでも、小さな子どもが危険なことをして、つい「ダメ!」と声をあげてしまうシーンもあるはずです。それが必要な場面があることも確かではあります。

たとえば、高いところに登る時や、熱いものに触ろうとした時などは、今すぐに止めなければいけません。そんな時は、「ちょっと待って」と話しかける、などの方法をとるようにしましょう。

「そうだよね、こんなところにものがあったら触りたくなるよね」などとつけ加えながら、子どもたちのきもちをくみ取ってあげることも大切です。

まだ言葉をうまく話せない小さな子どもに対して、やさしく話しかけながら、その子の意見やきもちをくみ取ろうとするのが重要です。

一方的に言うことを聞かせるのではなく、対話的な姿勢を見せることで、きもちや意見に耳を傾ける「間」が与えられ、小さな子どもたちも意思をていねいに扱われているという感覚をもつでしょう。

また、小さな子どもは、大人が想像もしないような行動をとることがあります。そうした時に、「なんでそんなことするの!」と言いたくなる場面もあるはずです。

そんな時に大切なのは、危ない行動をさせないことよりも、危ない環境を大人側がいかに改善してあげられるか、という視点です。

高いところによじ登ろうとしたならば、いかに登れないレイアウトに改善するかを考える。熱いものを触ろうとしたら、いかに手の届かないところで管理するかを検討するようにしてみましょう。

子どもたちが集団で過ごす保育園では、「ヒヤリハット」の記録が安全管理の基本になります。毎日のようにヒヤリハットの報告が記録される、というと、「いつも危険なことが起きる保育園なの?」と思われるかもしれません。

しかし、どんな危険が発生しそうか、子どもたちの行動に注意を払うことで、その子がどんな子なのか、どんなきもちでいるのかの理解を深めることができるようになります。

そのため、「公園で木の枝を拾って歩きはじめた」「つかまり立ちをした時に顔を上にあげて重心が後方に傾いた」といった、まだヒヤリハットとまでは言えないことでも、細かく観察するようにしているのです。

結果としてヒヤリハットの報告がたくさん集まることで、会議で定期的に園児一人ひとりの行動を振り返り、子どもの理解を深めたり、見立てにつなげるきっかけにもしています。

家庭でも、「ダメ!」と思うような場面があった時、危険の回避をした後に、子どものきもちや、やろうとした意図を想像してみてみましょう。

「そうか、あれに触ってみたかったのかな」「ここを開けてみたかったのかな」と気づいてあげられたら、「こんなおもちゃがあったら喜ぶかな?」と、ママパパ自身が子育てをたのしめるきっかけにもつながるはずです。

スポンサー