しつけとは、子どもに日常生活での礼儀や生活慣習を身に付けさせたり、社会規範に準じて行動ができるように教える行為のことをいいます。
「社会に出て困らないように」「恥ずかしい思いをしないように」と、しつけは子育てをするママパパや保育者の間でも、一般的には必要なものととらえられています。
しかし、0・1・2歳の時点では、しつけは必要ないです。それは、小さな子どもはやらされている理由が分からないからです。
辞書には、しつけとは「人を思い通りに、望ましい姿・形に変化させていくための行為」と定義しています。
では、「望ましい姿」とはどういったものでしょうか。大人のいうことを聞く、手のかからない子にすることでしょうか。
もちろん違いますよね。それでは「大人にとって都合が良い子」になるよう、教えさとしているだけにすぎません。
0・1・2歳児期の望ましい姿とは、その子が安心して、自己を発揮できる状態で過ごすことです。そう考えると、重要なのはしつけをしたり、なにかを一方的に教えることではないといえるのではないでしょうか。
まだ小さな子どもに対して、「静かにしなければいけない」「いい子にしなければいけない」ということを、自分で分別がつくように言い聞かせても、「その子のため」にはつながらないのです。
しつけをすることで、結果として小さな子どもができるようになった行動も、主体的な意思から子どもが動いたものではなく、「やらされている」だけにすぎないわけです。
しかし、子どもが生きていく上で、必要なことはどう教えるべきかと悩むママパパも多いでしょう。
たとえば、「手洗いうがいをしましょう」「列にならんで順番を守りましょう」「バランスよくごはんをたべましょう」などは、大人になるためにも、いずれはできなければいけないことです。
これらには、その子自身が獲得していくプロセスによりそい、サポートをしていけばいいです。早くできるようになってほしいと、けっして急ぐ必要はありません。
「そろそろトイレに入れるようになりなさい」と言うのではなく、その子が自分の育ちの中でトイレに興味をもち、自らやってみようというきもちが出てきた時に、そっと「トイレはこういうふうにするんだよ」と伝えるようにすればいいのです。
少しずつできるようになっていく中で、それを下支えするために、ママパパ、あるいは保育者の手や声かけが必要なことは忘れないでください。