退職⽇を前倒ししたら、有利なのか?

3⽉末⽇に期間が満了する契約社員から「⽉末退職は年⾦や失業保険の受給に不利なので前⽇に退職したい」と申⼊れを受けました。応じなければならないでしょうか。

3⽉末⽇に期間が満了する契約社員から「⽉末退職は年⾦や失業保険の受給に不利なので前⽇に退職したい」と申⼊れを受けました。応じなければならないでしょうか。

退職⽇を前倒ししても必ずしも有利にならないことを説明することになります。

社会保険の資格は退職の翌⽇に喪失します。

したがって、3⽉末に退職した場合は喪失⽇が4⽉1⽇となるため、3⽉は社会保険が適⽤され、社会保険料の⽀払が必要です。

⼀⽅、3⽉30⽇に退職の場合、喪失⽇が3⽉31⽇となり、3⽉分の保険料を払う必要もありません。

また、60歳以上の社員が年⾦を受給しながら働く場合、報酬の⾦額に応じて年⾦額が調整されます。

退職した場合は、調整されていた年⾦額を満額受け取ることになりますが、退職⽇が3⽉31⽇の場合に⽐べ、3⽉30⽇の場合は満額での⽀給開始⽉が1か⽉前倒しされます。

ただし、この場合はそもそも3⽉が社会保険の被保険者期間として扱われないため、3⽉31⽇の場合と⽐較すると今後受給できる年⾦額が少額になります。

雇⽤保険の基本⼿当については、契約通り3⽉末まで勤め、3⽉31⽇付で退職した場合は、給付制限がかからず即時に基本⼿当の受給が可能になります。

⼀⽅、前倒しした3⽉30⽇退職の場合は、期間満了とはいえず⾃⼰都合による退職と扱われるため、最⻑で3か⽉の給付制限期間が⽣じることになります。

このように、退職⽇を前倒ししたからといって、社会保険や雇⽤保険において必ずしも有利に判断されるとはいえないため、その旨を説明した上で、話し合いの機会を設けるとよいでしょう。