はじめてわが子を保育園に預ける時、不安を感じない人はいないと思います。
分からないことだらけの手探り育児の中で、常に目が行き届き、いつでも子どもの様子を見守っていたところから、他人の手に預けてしまうというのは、実に不安な感覚をおぼえるものです。
子どもは2人目だから、3人目だからといって、その不安がなくなるものではありません。
ましてや、待機児童問題が深刻なさなかで、大切なわが子を預ける保育園を思うように選べずに、「保育園に入る」ことが第一優先となれば、いっそう不安は大きいものです。
ただ、待機児童問題は近年、急速に解決へと向かっています。少しだけ前の時代の子育て世帯が経験してきた、保育園へ子どもを入園できるように苦戦してきた「保活」というものは、その意味も必要性も薄れていこうとしているのです。
遠くない将来に、親が好きな保育園を選び、いつでも入園できる時代に変わっていくのであれば、それは大変喜ばしいことです。
ですが、どうしても気がかりなことがあります。
「保護者の方が、どのような基準から、これからお子さんの入園先を選ぶようになるか?」という点です。
保育園を運営する立場からすると、「選ばれる園」であるために、入園の意思決定者である保護者の方にばかり目が向くようになりかねません。
ママパパに魅力を感じてもらえるよう、さまざまな特色を示し、アピールすることが保育園には求められます。もちろん、保護者の方にとって魅力的な保育園であることは外せません。
ただ、肝心の「園児にとって」「そのお子さん本人にとって」どのように有意義な園であるのか、という視点も、これから保育園を選ぶ保護者の方にもってもらいたいのです。
忙しい親を助ける保育サービスが充実しているに越したことはありません。
通うこと自体が気分の良くなる、おしゃれな保育園も魅力的でしょう。家から遠いよりは、できるだけ近くて通園の負担が少ない方が理想的なことも分かります。
ですが、ママパパや他のお子さんにとっては最適な保育園だとしても、それが、たった一人の「その子」にとって、最善の場であるとは限りません。
わが子にとって、その保育園はどんな居場所になるだろうか、という視点は大切です。