保育所保育指針では、就学前の乳幼児期を、「乳児」「1~3歳未満児」「3歳以上児」という3段階にわけて、保育を行う上でのねらいや内容を示されています。
小規模保育園では、この3つの段階のうちの2つ目まで、つまり0・1・2歳児を対象にした保育園ですが、この時期は人間の心の土台が形成される重要な発達段階で、個人差や月齢差が一人ひとり大きく開きがあるものです。
3歳くらいになると、言葉での会話が少しずつ成立するようになり、お友だち同士の協同的なあそびもどんどん広がっていきます。
法律上「学校」と規定されている幼稚園の教育がはじまるのも、ちょうど3歳からになります。その3歳以降の保育や幼児教育と区分されて、小規模保育が0・1・2歳児対象なのには、大きな意味があります。
保育士は国家資格をもった専門職ですが、その専門性の範囲はとても広いものです。その中でも、0歳から5歳までの6年間の発達すべてを網羅しきるのは、とても大変なことです。
たとえば0歳の保育を行う上で必要な保健的な知識と、5歳児のそれとでは、少し違った知識や経験、技術が必要になっていきます。
また、1歳児が過ごす保育室の環境構成と、4歳児が過ごす保育室の環境構成とでは観点も異なっていきます。
小規模保育園は「2歳までしかいられない保育園」と思われがちですが、この0・1・2歳児特有の育ちによりそうために、専門特化した保育園、と考えてみると、少し見方が変わるでしょう。
もちろん、「0・1・2歳児の専門だから、3歳以降のことは知らない」なんてことはありませんし、小規模保育の保育者も、園児が先々に3歳児、4歳児へと連続していく育ちを見通して保育にあたっています。
その上で、園全体がまるまる0・1・2歳児のために作られているというのは、集中的に専門性を深め続けることができ、保育の質の向上を図りやすいといえます。