1年経過後に退職できるという暫定措置
2年の契約期間で働いているのですが、来年以降退職することは法律上認められないのでしょうか。
1年経過後に退職できるという暫定措置が認められています。
契約期間については、法律上は、原則として3年、厚生労働省が認める高度な専門技術を有する場合や、満60歳以上の労働者の場合は5年という上限が定められています。
厚生労働省が認める「高度な専門技術を有する者」とは、以下のような者のことです。
・博士の学位を有する者
・公認会計士や弁護士などの資格を有する者
・システムアナリスト資格試験合格者、アクチュアリーに関する資格試験合格者
・システムエンジニアとして5年以上の実務経験を有するシステムコンサルタントで、年収が1075万円以上の者
企業がこのような高度な技術をもつ労働者を雇うケースもありますが、通常は上限3年と考えてよいでしょう。
そもそも契約期間を定めず、無期契約で就労している場合は、契約期間の制約を受けないため、労働者側はいつでも契約の解除を申し入れることができます。
しかし、契約期間を定めた以上、その期間は退職できないのが原則です。
ただ、現在のルールでは、たとえば、3年の契約期間で働いていたとしても、有期契約労働者には、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後は、いつでも退職できることが認められています(労働基準法137条)。
ただし、この暫定措置は、前述した高度で専門的な知識等を有する者と、満60歳以上の者には適用されません。
労働契約の期間
・期間の定めなし
労働者はいつでも解除できる
・期間の定めあり
原則3年
例外①
5年
専門知識をもつ者・60歳以上の者の雇用
例外②
有期の建設工事や一定の職業訓練については事業の終期や訓練の期間が限度となる
契約期間を定める場合の注意点
契約期間を定める場合と定めない場合で最も大きな違いとなるのは、契約解除の際の扱いです。
契約期間を定める場合、契約は期間満了によって終了しますが、期間途中で解除することは原則としてできません。
やむを得ない事情がある場合は、途中での解除が認められますが、その事情がどちらか一方の過失によって生じた場合は、相手方に対して損害賠償の請求ができることになっています(民法628条)。
一方、期間を定めない場合は、民法では2週間前までに申入れをすることでいつでも解除することができるとされています(627条)。
ただし、使用者が労働者を解雇するという形で契約を解除する場合は、労働基準法の規定により、少なくとも30日前に予告をするか、予告しない場合は30日分以上の平均賃金を支払わなければならないことになっています(20条)。