小規模保育園の全員保育-どの保育者も全園児の個性や、様子を理解していく
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一般的に、保育園では年齢ごとにクラスが分かれ、部屋も仕切られていて、担任の先生が決まっているものです。「○○組の担任は△△先生」と決まっていた方が、保育者側からすると管理がしやすくなります。

保護者の方にとっても、「うちの子をいつも見てくれているのは△△先生」と決まっていた方が安心かもしれません。

ですが、小さな保育園の保育室は、基本的には一つのフロアで、どの保育者も子どもとすぐそばで関われる距離感にいます。それこそが小さな保育園の良さです。

そのため、小さな保育園ではあえて、担任の先生を決めずに、保育者がどの園児とも関わるようにするところがあります。0歳児については愛着形成が大事な時期のため、あれこれと保育者が関わるのではなく、特定の保育者が関わることが基本になりますが、一人の保育者には限定しないのです。

なぜなら、子ども自身のきもちや主体性を大切にしていると、決めてしまうことがかえって、子どもにとってプラスにならない面が出てくるからです。

小さな子どもたちは、その時、その気分の移り変わりが大きく、どの先生とあそびたいか、どの先生に抱っこされたいか、どの先生に甘えたいかは、その都度変わっていきます。

だからこそ、おもちゃや絵本などを自由に取り出してあそぶ子どもの主体性を大切にするように、どの先生と関わりたいかも、子どもが決めた通りの方が良いのです。

また、子どもの理解を深めるためにも、特定の担任の先生の視点や経験に依存せず、経験や知識、子どもと関わる頻度などが異なる、複数の保育者が一人ひとりに関われるようにします。そうすることで、園全体としての子どもの理解にもつながります。

多面的に一人ひとりの子どもを観察したり、理解ができていると、見立ての幅も多様で深いものになっていきます。

担任の先生を決めない利点は、ほかにもあります。

保育とは、さまざまな保育者が関わって行うチーム仕事ですが、「この子は△△先生が担任の子」と決まっていると、別の先生がなにかに気づいたり、気になることがあったとしても、「担任の先生が気づいているだろうし、余計なお世話かな」と遠慮が出てきてしまいます。

担任の先生も、自分が担当している園児への思いは強くなりますが、他の園児にはどこか他人行儀にもなりかねません。

大人数の子どもたちがいる保育園では、さすがに担任の先生が決まっていない保育運営は無理でしょう。

しかし、小さな保育園では、少人数の子どもたちと保育者が、同じ空間で過ごすため、「子どもにとってどうなのか」の視点で考えると、やはり全職員が全園児と関われる前提で保育を展開した方が良いです。

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