小さな保育園でのあそび(活動)
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小さな保育園でのあそび(活動)

保育園での保育は環境を通して行うものですが、小規模保育園は設備面で見ると、大きな保育園に比べれば、さまざまな制約があるのは確かです。

そんな中でも、小さな保育園ならではの良さを生かしながら、小さな子どものための環境づくりやあそびの工夫をしています。そう聞くと、「実際に小規模保育園で子どもたちは、どんなあそびをして過ごしているの?」と、保育の中身や内容についても気になるところでしょう。

そこでここでは、小規模保育園で主に行っているあそびや活動をご紹介します。一口に小規模保育園といっても、施設規模やレイアウト、地域環境など、実にさまざまなものがありますが、一つの例として参考にしましょう。

さまざまな体験が得られる戸外活動

晴れている日は毎日、外へお散歩に出かけます。道中には虫がいたり、季節のお花がきれいに咲いていたり、たくさんの発見をたのしみながら、ゆっくり進みます。

よく行く公園には、安全に走り回れる広場や、じっくりあそべる砂場、四季によって変化を見せる草木もあり、保育者が安全に気を配りながら、子どもたちが目いっぱいあそんだり観察をたのしむ様子を見守ります。

お散歩の行き先は公園ばかりではありません。街には子どもたちの「お気に入り」のスポットがたくさんあります。電車が見える場所から、「おーい!」と呼びかけたり、手を振ったり、「どっちからくるかな」と見入っている子もいたりなど、一人ひとりの感じ方にていねいに応答しながら、気がすむまで電車が何本も往来するのを見届けます。

また、花屋に行き、プランターで植えるためのお花や、食育活動で使う野菜の種を「これちょうだい」と買いものをすることもあります。

歩いていると、お年寄りやご近所さんなど、たくさんの地域の方がやさしく声をかけてくれます。「おはよー」「こうえんにいく」と会話をたのしんだりしながら歩いていきます。

ほかにも、消防署をたずねて、消防車の席にのせてもらったり、交番にいるおまわりさんにあいさつをしたり、地域の人と触れ合いながら、「街」という社会で多様な体験を得ることで、子どもたちの世界がどんどん広がっていきます。

自由にのびのびと過ごす室内

あそび保育室内では、子どもたちがそれぞれ自由に、思い思いのあそびをして過ごします。0・1・2歳児の発達にあわせて、ねんどや積み木、ブロック、人形、おままごとセットなどの「見立てあそび」「つもりあそび」「ごっこあそび」につながるおもちゃや、パズルやシールはり、ぬり絵などの微細運動をうながすおもちゃを主に使います。

おもちゃや絵本は、自由に取り出せる場所に置き、子どもたちが好きなように手に取ってもち出してあそんでいます。積み木に没頭して一人でじっくりのめりこむ子もいれば、お友だちと役を決め合って、ごっこあそびを発展させている子たちの様子も見られます。

このほかにも、保育者と一緒にたのしむ「わらべうたあそび」や、手あそびもよく行っています。

小さな子どもは絵本も大好きですよね。保育園では、保育者が子どもたち全体に向かって読み聞かせるような使い方もありますが、主に子どもと保育者の1対1で関わるためのツールにしているところもあります。子ども自身が好きな時に好きなだけ読めるよう、多種多様な絵本をそろえています。

自己肯定感・非認知能力の根っこを育む運動あそび

毎月1回、外部のトレーナーの方を招いて運動あそびも行っています。具体的には、コーンやボールなどの道具を用いながら、たのしく身体を動かしてあそびます。

「走る」「ジャンプする」「しゃがむ」といったさまざまな動作を経験し、粗大運動の発達をうながします。まだ小さな子どもたちのため、体操教室のような身体能力の向上が目的ではなく、あくまでもたのしくあそぶための活動です。

0歳児は一緒に動き回ることはむずかしいですが、あそびの内容によっては、保育者が抱っこしながら参加することもあります。体を動かすあそびを通じて、先月できなかったことができるようになって達成感を得たり、小さな目標が一つひとつできるようになることで、自己肯定感や非認知能力の育ちにつながっていきます。

また、お友だちと一緒に取り組むことで、応援し合う、列に並んで順番を守るといった社会性をたのしみながら身につけていきます。

たべることがたのしみになる食育活動

毎月1回、給食室の調理員と保育者が共同企画し、行事や日本の伝統、生活に関連したテーマで、たのしく食に触れ合える食育活動を行っています。

たとえば、食材を実際に触ってみたり、調理のお手伝いをしたり、野菜のことを絵本でたのしみながら覚えたりなど、「たべること」が好きになってもらえるような取り組みに趣向を凝らしています。運動あそびと同様に、子どもたちも毎月たのしみにしている活動です。

また、活動の様子を写真と文章にまとめて振り返り、保育計画や次の食育計画に結びつけていったり、保育園に掲示して保護者の方に共有したりもしています。

小さな子どものための行事

自由あそびを基本としていますが、みんなで一緒に活動するあそびもあります。

運動あそびや食育活動のほかに、たとえば、七夕や夏祭り、クリスマス会、節分といった季節や伝統にちなんだイベントあそびもたのしんでいます。

ただ、0・1・2歳児は知識として慣習や伝統を覚えて学ぶよりも、なによりも「たのしんで親しむ」ことが大切です。そのため、練習をしたり歌を覚えたりといった大人主導の方法ではなく、絵本で興味や関心をもち、制作をたのしんでみて、そのあそびをさらに発展させていく、という流れをとるようにしています。

0・1・2歳児のための小さな保育園では、なにか特別な教育をほどこしたり、ほかにはない珍しい道具などはあまり登場しません。なぜなら、小さな子どもたちが過ごす保育園は、あくまでも家庭的で、一つひとつの発達の段階や、一人ひとりのきもちによりそうことがすべてだと考えているからです。

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