パートタイマーを正社員にするにはどうしたらよいのでしょうか。
労働条件の異動などを説明した上で契約を変更することになります。
優秀な⼈材をできるだけ低コストで採⽤し、⻑く勤務してもらいたいというのは、企業の正直な希望でしょう。
しかし、少⼦⾼齢化などの社会情勢もあって、優秀な⼈材の確保が困難な場合もあります。
このような事情を考えると、パートタイマーとして採⽤している労働者の中から⼀定の基準をクリアする⼈を正社員として採⽤するという⽅法は、⼈材確保の⼿法として、有効だといえるでしょう。
パートタイム労働法でも、正社員への転換を推進するための措置を講じることは、事業主の義務とされています(13条)。
パートタイマーを正社員にする際には、労働条件や処遇の変化を当該労働者が理解しているかについて留意します。パートタイム労働という働き⽅については法的に明確な定義があるわけではないため、パートタイム労働と正社員との違いは会社によってさまざまですが、⼀般的には以下のような条件上の違いが⾒られます。
①労働時間
パートタイマーの⽅が労働時間や労働⽇が短いのが⼀般的で、残業や休⽇出勤も少ない。
②賃⾦
時給制が多いパートタイマーに⽐べ、正社員は、⽇給⽉給制または⽉給制であるので収⼊が安定している。
③休暇や休業の制度利⽤
有給休暇や育児休業などは⼀定の条件を満たしていればパートタイマーでも取得する権利があるが、実際には取得しにくい現実がある。
④昇進等の制度
正社員になれば昇進・昇給の対象とされる反⾯、責任が増⼤する。配置転換の対象になる可能性もある。
⑤福利厚⽣
社会保険加⼊の他、施設利⽤などの⾯で正社員の⽅が有利である。
労働者にとっては、賃⾦などの⾯で正社員になるメリットは⼤きいと思われますが、⼈によっては、育児や介護をすべき家族がいる、被扶養者でいる⽅が好都合である、責任の増⼤による精神的ストレスを受けたくない、などの事情であえてパートタイマーを選択することもあります。
ですから、パートタイマーを正社員にする前に、まずは労働条件や処遇の違いを明確に⽰し、企業と労働者双⽅の要望が合致しているかどうかを⼗分に確認することが必要になります。