保育園のお昼寝の風景をイメージしてみてください。
布団やお昼寝コットが並べられた保育室で、それぞれ子どもが寝ているかたわらで、保育者がトントンとしている様子。子どもが眠りにつくまで、よりそっている姿が想像できると思います。どの保育園でもよく見られる保育の一場面です。
その時、保育者の頭の中には、どのような思いが浮かんでいるでしょうか。
保育園での保育者の勤務時間というのは、基本的に子どもが保育園にいる時間とイコールで、子どもとの時間が密接に関わってきます。
ただほかにも、保育の仕事には、保護者の方への連絡帳を書いたり、指導計画を立てるといった書類仕事や、保育者間で話し合いを行う会議の時間、園内研修などさまざまなものがあります。
子どもが寝静まっているこのお昼寝の時間は、保育者が交代でお昼休憩を取ったり、連絡帳を書いたりといった業務を行うための、貴重な時間帯になります。
そのため、保育者はついつい、「園児全員が」「早く寝付いて」「長い時間」寝てくれることを期待してしまうものです。
なかなか寝付けない子をスムーズに「寝かしつけ」ようものなら、「先生すごい!」と他の保育者から賞賛されることもあったりするのです。
しかし、一斉に同じ時間に寝かされるのは、子どもにとってどうなのでしょうか。
特に小さな子どもたちは、眠たくなるリズムも時間帯も、眠りたい時間の長さも異なります。眠たくない子を寝かそうとするのはどうなのでしょうか。
まだ小さな子どもは体力も十分ではなく、身体をしっかり休ませるのは当然必要なことです。
しかし、お昼寝は、子どもたちを眠りにつかせることが目的ではなく、あくまでも休息を取ることであるはずです。保育者がほかの仕事をするためにお昼寝をさせているわけでもありません。
そう考えると、トントントンとやって、全員を早く寝かせようとする行為は、実に大人都合です。
お昼寝では、子どもを無理に寝かせようとはせず、一人ひとりの様子やペースに合わせるようにすべきです。
眠りたくない子や寝付けない子は、それぞれの子の様子によりそって過ごすようにいします。眠りはしないけれど横になって、保育者と絵本を読みながら身体を休めたり、明るい陽が入るスペースに移動して積み木でじっくりあそぶなど、その子のペースや前の日の睡眠量なども考慮しながら、その時の状況に応じて過ごします。
お昼寝ひとつとっても、子どもに「みんなと同じ」を求めることはないことです。