未知なる社会へ向かう中でも、さまざまな「未来の方向性」は見えてきています。
その代表的な存在がAI(人工知能)です。
これまでの仕事が、AIによって置き換わる、という話を耳にした方はきっと多いことでしょう。もちろんその分、新たな仕事も生まれていきますが、少なくとも単純作業を人間が担うことは劇的に減っていくはずです。
こうして社会が変化する中で、未来を担う子どもたちの毎日のあり方が、これまで通りで「最適」だとはけっして思えません。
今ある常識や慣習に身を任せていれば、生きることはできるかもしれません。
しかし、私たち大人が子どもたちに対して担うべき責任は、
「今をより良く生きること」、
そして、「将来幸せに生きるための最善な環境の保障」ではないでしょうか。
これまでの仕事が人間でなくてもできる世の中へ、次々と置き換わっていくのであれば、「子どもが社会人になった時に」という観点から、子どもが育つ環境や過程、方法や内容を必要に応じて見直さなければなりません。
検索すればいくらでも答えが出せる時代には、効率的に答えにたどり着くことの優先順位は低くなります。なぜなら、答えにスピーディにたどり着くのは、まさにAIの得意技だからです。
それよりも大事なのは、0から1を生む力です。
答えがない中でも課題を見つけ、新たな価値を提案するのは人間にしかできません。
さらに「応用力」も求められていくでしょう。つまり、身につけた知識をどう生かしていくかを思考する力です。
「これをやりなさい」と言われたことを、その通りに実行して「すごい!」と言われるような時代では、もはやありません。テストの正答率より、解答を導き出す方法をより多く知っていたり、問題を設定したりする力の方が、この先ずっと大切になってくるのです。
その子にしかない「個性」が未来をきりひらくいま0・1・2歳の小さな子どもたちが、これからの時代を生きていく過程で、大人になるまでにどんな力を身につけるのが望ましいのでしょうか。
他の子よりもテストで高い点数が取れたり、偏差値の高さといった、相対的な学力で秀でることでしょうか。
これまでは、そういった「勉強ができる」力が、将来成功するカギと考えられていたかもしれません。
ですが、これからは、より創造的あるいは独創的な力を発揮して、新しい価値を生み出せる力が求められていきます。
そう考えると、小さな子どものうちから「その子らしい」魅力や、得意なところがのびのびと育まれるように、私たち大人が支えていかなければなりません。
「他のみんなと同じ」でいることは、これまでの日本の文化や、価値観で子育てをするママパパにとっては、一番の安心材料、そして基準だったのではないでしょうか。
「同調圧力」という言葉にもあるように、日本社会には、他の子と違うのが不安に直結する、独特の価値観が存在しているのです。
「出る杭は打たれる」という言葉がありますが、「みんなと同じように」ではなく「一人ひとりそれぞれに」という、大人側の子ども観の転換が、私たちには必要なのではないでしょうか。