普段から使う小さな子どもに関する用語や言葉について、細かくこだわる必要があります。
たとえば、「慣らし保育」という言葉があります。
慣らし保育とは、お子さんが保育園に通いはじめて、保護者の方との分離生活、集団生活に慣れていけるよう、段階的に保育時間を延ばしていくことを言います。
この「慣らし保育」という言葉を見て、なにか違和感を感じないでしょうか。
この言葉は、かねてより保育園で自然に使われてきましたが、非常に大人目線というか、大人の都合を子どもに押し付けているように感じさせる言葉です。慣らし保育を、子どもを主語に置きかえてみると、「親との分離生活に慣れさせられる」ということになります。
なんだか、子どもの心が置き去りにされているような印象を受けます。慣らし保育に限らず、育児や保育の場面で使われる言葉は、大人が主語なものばかりです。
自分が子どもだったらと思うと、なんともうれしくない状況下に押しやられる感じがします。こうした用語や言葉を〝子どもを主語〟に置きかえて使うようにします。
たとえば、慣らし保育は「慣れ保育」、寝かしつけは、単に「○○ちゃんが眠る」と言ったり、「お昼寝によりそう」といった言い方をします。
こうした用語だけに限らず、世の中を見渡すと、子どもたちに対して「大人に合わせさせている」と思うような慣習や大人のふるまいが多いことに、度々はっとさせられます。
だからこそ、せめて保育園では、子どもの主体性や権利が尊重される環境で過ごさせてあげたい。そんな思いから、細かなことかもしれませんが、使う用語にもこだわっていくのです。