1・2歳は「自己肯定感」「非認知能力」の根っこを育む
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おおむね1歳以上になる次の発達段階を、幼児前期といいます。ここでは分かりやすく、保育園での年齢の数えで1~2歳児として説明します。

1歳を過ぎると、だんだん身の回りのことに興味や関心をもち、歩けるようになり、行動範囲も広がっていきます。

「自分でやりたい!」ということが増えはじめ、あらゆるものを触ろうとしたり、危険なところに向かって行ったり…ママパパからすれば、なにかとヒヤッとするような場面も出てきますよね。

そして、自分の思い通りにいかず、やろうとしたことが上手くいかないと、かんしゃくを起こすこともしばしば。

「魔の2歳児」という言葉がありますが、いわゆるイヤイヤ期へと進んでいきます。多くのママパパが悩むこのイヤイヤ期ですが、泣くだけだった乳児期から、はじめて自らの意思を発しはじめるこの時期こそが、実は自己肯定感をぐっと育てていけるチャンスなのです。

忙しい毎日の中での育児では、時間的にも精神的にも、子どものすべてを思うままにやらせてあげるのは、とてもむずかしいことです。

しかし、まずはきもちに共感し、可能な限りやらせてあげる気構えをもって、小さな子どもたちと向き合うようにしてもらいたいです。

ほかにも、他の子やお兄ちゃん、お姉ちゃんと比較するような言動も禁物です。「なんであなたはこれができないの!」「2歳ならできるはず」などと言ってはいけません。

そしてもう一つ、「男の子なのに」「女の子なんだから」といった、性差による価値観も押しつけないようにしましょう。

小さな子どもたちは、ただ自分の話をまっすぐ聞いてほしいものです。相対的な評価ではなく、絶対的にその子を見て、肯定的な態度を示し続けていけば、「自分はこのままでいいんだ」「自分の考えていることは素敵なことなんだ」と、着実に自己肯定感を身につけることができるようになります。

このように、自己肯定感を獲得していく過程で、その先の学びに向かう力、生きる力につらなって伸びていくのが非認知能力です。

非認知能力については、ここ数年の間でメディアや書籍でも取り上げられ、すでにご存じの方も多いのではないかと思います。

非認知能力とは、次のようなものごとに向かう「心」やきもちに関連するスキルを指します。

○やってみよう!と意欲的に取り組もうとできる「前向きな姿勢」

○諦めずにやり抜こうとする「忍耐力」や「粘り強さ」

○他者と協力し効果的な対話を行える、「コミュニケーション力」や「社会性」

○失敗しても「次は大丈夫」と、きもちを調整したり切り替えたりできる「楽観性」

これらの「心情・意欲・態度」が土台として育まれなければ、先々の学校教育で深く学び、獲得していく知識や技能、学力といった測定できる力(認知能力)も伸びにくく、乏しいものになってしまいます。

0・1・2歳児の発達を大きな「木」にたとえて説明をします。

木の根が力強く張れていれば、大きな木へと成長ができます。枝分かれし、葉も広がり、美しい花や実をつけることもできるでしょう。少しくらいの嵐ではびくともしない、立派な木へと成長しますよね。

しかし、根が強く張れていなければ、一見大木に見えてもすぐに倒れてしまいます。

0・1・2歳までに作られる土台もまさに同じで、木の「根」にあたる部分を作ることがとても大切な時期になります。この形成に必要なのは、なにかをできるために教えこんだり、厳しくしつけをすることではなく、その子自身が安心して生活し、自己を思う存分に発揮できる環境に身を置くことなのです。

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