小規模保育園は、その名の通り、一般的な保育園と比べて小さな保育園です。
「ふつうは大きいもの」なのに、それが小さなものと言われると、小さいこと自体がどこか不十分に思われるのは当然かもしれません。ただ、そこで過ごす子どものことを考えてみると、少し違った観点で見えてくるはずです。
大人の目線で見ると、スペースが広々としていて、天井が高くて開放感のある方が心地良さそうに感じます。
しかし、大人の半分ほどの背丈の大きさ、目線の高さ、手足の長さで、ただ広い保育室を想像してみると、どこか落ち着かない気がしないでしょうか。体育館で過ごしているような感じ、というと極端かもしれませんが、小さな子どもからすると、大きくて広々とした空間が必ずしも「くつろげる空間」とは言えないのです。
小さな保育園は、やはり一般的な保育園と比べて小さいですが、それでも天井にオーガンジーを張ってみたり、やわらかいラグを敷いた小さなコーナーを作るなどして、子ども目線でくつろげる居場所づくりに工夫を凝らしているところもあります。
「小さい=狭いのではないか?」と感じる方も多いのではないでしょうか。安全面から考えれば、当然、「狭い」と感じるような環境下での保育は望ましくありません。
これについては、具体的に面積でご説明します。
まず、小規模保育園の保育室の必要面積は、認可保育園と同じサイズです。
認可基準で0・1歳は1人あたり「3・3㎡」、2歳児は「1・98㎡」です。「3・3㎡」というのは畳2畳分の大きさのため、相当狭いことが分かりますが、これはあくまでも最低基準です。実際には、どこの保育園でも相応の余裕をもって設計されています。
たとえば、、0歳児の定員数は2人としている保育園で、その保育園の乳児室で法律上必要な面積は、「6・6㎡」ですが、実際には6畳程の和室を割り当て、ここに保育者が1名いる状態を基本としているところもあります。
6畳程度といえば、大人からするとけっして広くはありません。ですが、ハイハイやつたい歩きをするスペースを考えると、十分な広さは確保されているのです。
自治体によって、必要面積の基準や、年齢ごとの区画の考え方は多少異なりますが、基本的には、国の最低基準よりも余裕をもっている保育園がほとんどのはずです。
最低基準自体が低いため、それより余裕があるから「広い」とは言いきることはできません。ですが、こうして考えると、「小規模保育だから狭い」というわけではなく、0・1・2歳児に「適した広さ」を考慮した設計ということが分るでしょう。