個人差の大きい0・1・2歳児にとって、食事は個別対応が欠かせません。
0歳から離乳食がはじまり、初期・中期・後期・完了期と進んでいきますが、「0歳児」といっても保育園にいる子どもはそれぞれ月齢差があり、一人ひとりのペースや家庭での進み具合も異なります。
幼児食になってからも、たべられる量の違いや、好き嫌いはそれぞれにありますし、「野菜は嫌いなものが多くて」「うちの子、ぜんぜん家では(量を)たべなくて」などと、家庭での悩みや不安もそれぞれにあるでしょう。
保育室と調理室が隣接している小さな保育園には、子ども一人ひとりの食事にていねいによりそえるという大きな利点があります。
調理員が子どものたべている様子を直接見たり、保育者と日頃から個別の食の進み具合、好き嫌いや家庭での摂食状況を情報共有しているため、園児全員分の給食を作る中でも個別のアレンジを行えるのです。
たとえば、食材の刻み方を変えたり、固さを少しやわらかく仕上げたり、子どもたち一人ひとりのその時々の食の進み具合に合わせて、調理の段階でひと手間を加えることができます。
また、たべる量が少なくてなかなか食が進まない子には、盛り付けの量をあえて少なめにして「たべ切った」という達成感を得られるように声かけをすることもあります。
野菜にまったく手をつけないお子さんには、無理にたべさせようと声をかけてうながすのではなく、絵本やパネルシアターを使った食育活動を通じて、「たべてみよう」というきもちや興味を引き出す工夫をしてみたり、野菜を栽培したり、お散歩途中の八百屋さんで野菜を買うことをたのしむなど、野菜そのものに親しみがもてるような機会を作ってみたりもします。
小規模保育園では、調理員が子どもたちのたべる様子を見たり、声をかけたりするだけでなく、保育の中に入って一緒にあそびをたのしむこともあります。
保育士と調理員とでは、業務内容が違いますが、子どもにとっては、「一緒に保育園で過ごしている先生」です。子どもたちにとっても、ただ給食を作ってくれる人ではなく、一緒にあそぶことをたのしんだりもする「給食の先生」として認識しています。保育者だけでなく、調理員もふくめて「全員保育」を形づくっていくのです。