くつ下を自分ではける子が「はかせてほしい」と言ったら、どうする?
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0・1・2歳児はめざましい早さで、いろんなことが「できる」ようになっていきます。

衣服の着脱もその一つですが、できるようになったことを、あえて「やって!」と保護者の方や保育者に言ってくることがあります。

そうした時に、どう応答するかも、大人側の育児観や保育観によって異なっていきます。

たとえば、くつ下を自分ではけるようになった子から、「はかせて~」とおねだりされたら、どのような反応を示すのが良いでしょうか。

「えー、○○くん、自分ではけるでしょう」
「2歳なんだから、もう自分でできないと」
「○○ちゃんは、ほら、自分でやっているよ」

これらのように、自立をうながすために、自分でやらせようと言い聞かせていませんか?

あるいは、「お散歩の準備で忙しいのに」などと、作業の方を優先してしまっていませんか?

これ以外にも、子どもの甘えたいきもちを、「ここで甘やかしたら、わがままになってしまう」などと考える人もいますが、それはまったくのお門違いです。

なぜなら、「甘やかす」ことと、「甘えさせる」ことは意味が異なるからです。

甘やかすとは、子どもが自分でできるようになったのに、大人が手助けしてしまう、主体が大人側にある行為のことをいいます。子どもがわがままになって困るのは、子どもよりも大人側です。

「あれちょうだい」「これ買って~」という要求に応えないと駄々をこね、本当は良くないと思いながら与えてしまうのも、大人側の困りごとを回避するためだったりします。

あるいは、子どもが靴をはくのを待っていては、約束の時間に遅れてしまうからと、手伝ってはかせてあげてしまうという行為も、大人側の都合で甘やかすことの一つです。

一方、甘えさせるというのは、子どもの心理的な要求に応える行為であって、主体は子ども側です。

「甘えたい」という子どものきもちには、親や保育者から愛されていることを確認するためだったり、いつでも守ってくれる存在を感じて安心したいという思いが隠れています。

もしくは、保育園での集団生活の中でがんばっていて、「もっと自分だけのことを見てほしい」というきもちが隠れているのかもしれません。

それらのような、子どものきもちが主体にある場面に、一つひとつていねいによりそうことで、「基本的信頼感」や「自己肯定感」、「非認知能力」といった心の土台が築かれていくのです。

今まで自分でできていたのに、「できない」と言って甘えてくれたら、そういった心の土台を育むチャンスです。くつ下を自分ではける子が「はかせてほしい」と言ったら、笑顔でやさしく「はーい」といいながらはかせてあげましょう。

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