洋服を売るのが、ファストファッションの波などもあり、以前ほど簡単では無くなった時に、一部の人間が考えたのは、今までの「洋服」に加えて「生活雑貨」を売る事でした。
多くは食器やマグカップ、アロマ関連など、何となく部屋にあればステキそうなモノを、何となく並べる、という所に留まったブランドも目立っていました。
中には「洋服のようにシーズン性が強くないので、リスクが小さい」という考え方もありました。
当然、餅は餅屋と言われるように、深い考え無しに食器を並べても、お客様にとって、始めは物珍しく映るものの、よほどの熱狂的なファンではない限り買う理由とはなり得ず、むしろシーズン性を無視することで、複数年に渡りずっと同じ商品が並んでしまう、という店舗もありました。
ここでアパレル業界としても、正しく生活雑貨、ライフスタイルストアというものを勉強すべきでしたが、それはアパレル業界人からではなく、生活雑貨業界の経験者やプロから教えを乞い、共に創りあげるような形が良い、と判断した所が多く、生活雑貨業界からアパレル業界への人材流入も増加しました。
二つの側面を知っていると、見え方も変わる
実は、この流れは2000年代に「生活雑貨店が、アパレル商品を展開」して、数字を持ち上げよう、とした動きの逆バージョンであるともいます。
生活雑貨店の言い分としては「アパレル商品は値入率がよく(原価が安く、利益率が高い)、配送コストが安く、陳列場所もあまり取らず、おいしい商材」として、取り組んでいたようですが、ここではコーディネートが組めない商品構成、季節や気温に合わない商材、売価変更時期を誤った乱暴な値下げ、小ロット生産で原価率が高く利益が出にくいなど、あまり上手くいかなかったのです。
本来なら、このタイミングでアパレルと生活雑貨の融合が起きていれば、ライフスタイル提案はもっと早期に確立が出来ており、もっと規模が拡大していた可能性もあります。
とはいえ、やはり異業種の商材をいきなり取り扱うのは、容易ではなく、他業界が洋服を展開しても簡単には売れない事象は今でも起きていす。
と同時に、消費者側も特定のブランドを熱烈に信仰していない場合は、どこで何を買うのが最も自分にとって有益なのかを知っているので、自分の得意分野を認識しつつ、周りの得意分野を勉強する事の大事さは変化していないように見えます。