ほとんどの仕事は派遣で働ける

時代とともに変化している派遣で働ける仕事

日本に存在する多くの仕事に、派遣社員としてつくことができます。

わざわざこのような説明をするのはなぜかと言うと、これまでは派遣でできる仕事に制限があった時代があったからです。また、わずかではありますが、現在も派遣が禁止されている仕事もあります。そのことについて、簡単に触れておきます。

日本で労働者派遣法がスタートしたのは、1986年のことです。当時は正社員や契約社員の仕事が派遣社員に取って代わられることのないよう、正社員や契約社員を保護するための法律という意味合いが強かったのです。

そこで、派遣でできる仕事を専門性の高い13業務に絞っていたのが最初の労働者派遣法です。その後30年の歴史の中で労働者派遣法は何度か改正されましたが、1999年までは派遣でつくことができる仕事に制限が設けられてきました。

もしかしたら、「専門26業務」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。その時代、派遣社員は法律で定められたわずか26業務にしかつけなかったのです。

しかし現在は、派遣社員はほとんどの業務につけるようになりました。今なら派遣の仕事につくことで、どんな人も天職に出会うチャンスがあるとお話ししているのは、こういう歴史的な事情があったからです。

派遣で禁止されている仕事

一方で、今も労働者派遣法で派遣が禁じられている業務があります。

その禁止業務とは大きく次の5つです。

①港湾運送業務

港湾における船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役やいかだ運送、船積貨物の鑑定・検量等の業務

②建設業務

土木、建築、その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊もしくは解体の作業や、これらの準備作業に関わる業務

③警備業務

事務所、住宅、興行場、遊園地等において、または運搬中の現金等に関わる盗難や、雑踏での負傷等の事故発生を警戒し、防止する業務

④病院等における医療関連業務

医師、歯科医師、薬剤師の調剤、保健師、助産師、看護師、准看護師、栄養士等の業務

⑤弁護士、司法書士等のいわゆる「士」業務

弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、建設士事務所の管理建築士の業務等

細かいことを言えば、それぞれについて例外が認められている場合もありますが、ここでは説明を省きます。これらの仕事は、基本的には派遣ではできないということを頭に入れておいていただければ十分です。

これらの仕事を除けば、現在は、派遣社員も、正社員や契約社員も、仕事の内容に目立った違いがなくなってきています。

派遣社員はおおむね、正社員や契約社員ほど重い責任を負わなくてもいいケースが多いのですが、職場によってはマネジメントを任されたり、広い裁量をもたされるなど、責任の重い仕事についている派遣社員もいます。それを抜擢ととらえるか、負担ととらえるかは人それぞれです。

ただ、派遣社員だからといって、仕事のチャンスが狭められているわけでは決してありません。

優秀な人、頑張っている人なら、はじめは派遣社員であっても、どんどん活躍してもらいたいので抜擢する、それはどの職場も共通して考えている本音なのです。

POINT

・ほとんどの仕事は派遣で働けるが、法律により一部例外もある。

・派遣社員と正社員との仕事内容に大きな差はなくなっている。

・派遣社員だからといって、仕事のチャンスが減るわけではない。